嘘も本当も本音で話したい

好き嫌いを喋るなら、建前なんてすっ飛ばして本音で話したいですよね。

*

スラムドッグミリオネア:全出題問題と「なぜ回答できたのか」の解説

      2016/01/06

映画の場合、いろんな国のいろんな映画賞を獲得した映画はおおむね出来が良いとそれなりに信用しているところがあります。

もちろん好みは人それぞれなので、良い映画だけど好きじゃないとか、雑すぎるけど個人的に好き、とかはありますが。

という訳で今日は映画の賞を大量受賞したスラムドッグミリオネアをご紹介します。

スラムドッグミリオネアの受賞歴

スラムドッグミリオネアは2008年イギリス映画です。

原作はヴィカス・スワラップの「ぼくと1ルピーの神様」で、それをダニー・ボイルが映画化した作品です。

主な受賞歴は以下の通りです。

トロント国際映画祭:観客賞
オースティン映画祭:観客賞
ボストン映画批評家協会賞:作品賞、編集賞
英国インディペンデント映画賞:英国作品賞、監督賞、新人俳優賞
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞:作品賞、監督賞
デトロイト映画批評家協会賞:作品賞、監督賞
フロリダ映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、脚本賞
ヒューストン映画批評家協会賞:監督賞、脚本賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞:監督賞、作曲賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー:監督賞、ブレイクスルー俳優演技賞、脚本賞
全米映画批評家協会賞:撮影賞
ゴールデングローブ賞:作品賞、監督賞、脚本賞、作曲賞
英国アカデミー賞:作品賞、監督賞、脚色賞、音楽賞、撮影賞、音響賞、編集賞
アカデミー賞:作品賞、監督賞、歌曲賞、作曲賞、編集賞、録音賞、撮影賞、脚色賞

受賞歴があまりに壮観すぎて言葉もないといった感じです。しかも単に受賞してるだけでなく、内容も生命力に満ちた良い映画です。

スラムドッグミリオネアの概要・あらすじ

インド・ムンバイのスラム街で生まれ育ったジャマールが、インド版「クイズミリオネア」に出演し、数々の問題を正解していき最終問題までたどり着きます。

しかし無学のはずのジャマールが医者や教授や法律家でもたどり着けなかった最終問題にまでたどり着いたことで、不正の疑いがかけられます。

不正の疑いで取り調べを受ける中で、ジャマールは「僕は答えを知ってたんだ」と言います。

そこから各問題と、その問題の答えが分かることとなったジャマールの生い立ちや背景が説明され種明かしされていきます。

また取り調べの中で「なぜ無学のお前がこの番組に出ようと思ったんだ」と聞かれます。

ジャマールがクイズミリオネアに出ようと思ったのは、ある女性との過去がその理由で、最終的にその女性とどうなるのかがこの映画の最大のテーマだったりします。

スラムドッグミリオネアで出題された全問題・回答と正解できた背景は?

実際にスラムドッグミリオネアで出題された全問題とその回答と、正解できた背景を見ていきます。

第零問「彼はあと1問でミリオネア。なぜ勝ち進めた?」

1 he cheated インチキした
2 he’s lucky ツイていた
3 he’s a genius 天才だった
4 it is written 運命だった

これは映画の冒頭で出題される問題で、実際のクイズミリオネアで出題される問題ではありません。

ただ物語上重要な役割を果たす問題となっています。

第一問「1973年のヒット映画「鎖」の主演俳優は?」

ここは4択が映し出される前に画面が切り替わったので4つの選択肢は分からないですが、正解はアミターブ・バッチャンです。

もともとアミターブ・バッチャンのファンだったジャマール。

少年時代にトイレに閉じ込められながら、かなり強烈な方法でトイレを脱出してアミターブ・バッチャンにサインを貰い大喜びしました。それがクイズに正解できた理由です。

またあの時の兄の表情の変化がその後の映画の行く道を物語っていたように思えました。

はじめは「ジャマールスゲエな。何がなんでも目的を達成するんだな。」と驚きと感心の入り混じった表情をしていたけれど、ジャマールが実際にサインを貰いサインを掲げ大喜びしていた時には「くそ、なんでコイツだけアミターブにサイン貰ってやがるんだよ。」みたいな表情。

この変化は凄かったです。そして結局、兄サリームがそのサインを売りさばいてしまいます。

第二問「インドの国章には3頭の獅子の姿が。その下に書かれた言葉は?」

A 真実のみが勝利する
B 嘘のみが勝利する
C 時流のみが勝利する
D 金のみが勝利する

この言葉はインドで最も有名な言葉ですがジャマールは分かりません。ここでジャマールはオーディエンスを使って観客に答えを仰ぎ正解します。

そこから画面が取り調べ室に切り替わり、警部が「5歳の娘でも知ってるがお前は違った。クイズの天才なのになぜ答えを迷ったんだ?」と問い詰めます。

それに対しジャマールは
「チョウパティのパニプリは幾ら?」と問い「10ルピー」と取調べ人が答えると「違う、新年から15ルピーに。」と言います。

また「木曜日に駅で巡査の自転車を盗んだのは誰?」と問い、「知ってるのか?」と取調べ人が答えると「誰だって知ってる。5歳の子でも。」と言います。

この場面がかなり良いです。

第三問「ラーマ神の描写で彼が右手に持つ物は何でしょう?」

A 花
B 刀
C 子ども
D 弓と矢

ヒンドゥー教の神であるラーマ神が持っているものを問う問題です。

ジャマールはインドの中ではめずらしくイスラム教を信仰していますが、イスラム教とヒンドゥー教の宗教争いで母親を亡くしました。

ヒンドゥー教徒が攻めてきて母親を亡くし街を焼かれ、そこから逃げる中で目にしたラーマ神の姿が目に焼き付いていて、それが問題に解答できた理由です。

またこの時に兄サリームと一緒に逃げる中で出会ったのがラティカという少女です。

サリーム・ジャマールの兄弟も両親を亡くしましたが、ラティカも両親をなくし、これからこの3人の子どもは生活を共にしていきます。

第四問「クリシュナ神の歌を書いた有名な詩人は?」

A スールダース
B トゥルシーダース
C ミラバイ
D カビール

ジャマール兄弟とラティカの3人は、孤児を連れていき物乞いをさせるグループに連れていかれてしまいます。

そこで物乞いをさせるグループのボスであるママンという人物が「クリシュナ神の歌」を教えられます。

このグループは子どもの歌が上手くなれば目を潰して盲目にします。なぜ盲目にするかといえば、盲目の歌手は2倍稼げるからです。

ジャマールも他の子と同様に盲目にされそうになりますが、そこは兄サリームの機転で脱走します。

追手を振り切りジャマールとサリームは何とか電車に飛び乗れましたが、ラティカは電車に乗れません。

そこでサリームが手を出しラティカの手をつかみますが、サリームは手を離してしまい、ラティカはその場で立ちすくみ追手につかまってしまいます。

ジャマールと兄サリームは「なぜ手を離したんだ?」「ラティカが離した!」「戻ろう!」と言い争うものの、戻れば目を潰されるということをサリームが言い聞かし、これからは兄弟ふたりで生きていくことを決めます。

それからはツアーガイドの真似事や、観光客が靴を脱いでいるところをかっぱらって売って生計を立てます。

また車で来ている観光客をジャマールが案内し、その間に他の子どもたちが車の中のものをかっぱらったりします。そこでアメリカの紙幣を手にします。

ちなみにジャマールが目を潰されそうになる前に、
「ママンが歌を気に入れば僕も稼げる。大金が手に入るぞ。お屋敷に住めるんだ。君、兄ちゃん、僕の三銃士で。月の光の下で君と僕。踊ってくれるよね?」
とジャマールはラティカに言います。

これが最後の大ラスシーンに繋がっているので実は結構重要な場面です。

第五問「アメリカの100ドル札にはどの政治家の顔が描かれているでしょう?」

A ジョージ・ワシントン
B フランクリン・ルーズヴェルト
C ベンジャミン・フランクリン
D エイブラハム・リンカーン

ジャマールとサリームの兄弟はいろいろあってハンバーガー屋で働くようになり、生活もずいぶん楽になってきます。

生活は楽になったものの、ジャマールは追手につかまった少女ラティカのことをずっと忘れずにいました。

そこで今の生活を捨て、ラティカを探すためにチョウパティへ行くことにします。それに対しサリームは「あんな子おれはどうでもいい。彼女は忘れろ、どうせ死んでる」と言います。

結局兄弟でチョウパティへ行くと、そこにはジャマールとかつて一緒に暮らしていた盲目になった子どもの歌手がいました。

その盲目の歌歌いの子にジャマールは100ドル札をあげます。

盲目の歌手は「お札に誰の顔が描いてある?」と聞きます。

ジャマールは「おじいさんだ。おでこはハゲ。両側は女みたいな長髪」と答えると、盲目の歌手が「ベンジャミン・フランクリン」と答えます。

盲目の歌手は声で相手がジャマールだと分かり、ジャマールがその子どもに謝ると「君は幸運、僕は違った。それだけのことさ」と盲目の歌手は答えます。

そして売春宿のようなところでラティカを見つけますが、そこでジャマールとサリームはママンに見つかってしまいます。

ただサリームがママンをリボルバーで撃ち、サリームジャマールラティカの3人は逃げます。

第六問「リボルバーを発明したのは?」

A サミュエル・コルト
B ブルース・ブローニング
C ダン・ウェッソン
D ジェームズ・リボルバー

ママンを撃ち、ママンのお金を奪った3人はホテルに逃げ込みます。

ママンの追手から逃れるためにサリームは、ジャヴェドというママンと敵対するグループのボスと手を組むためにジャヴェドを探しにいきます。

部屋でふたりになったジャマールとラティカのやり取りで
ラティカ「私のために戻ったの?」
ジャマール「もちろん」
ラティカ「忘れたかと思った」
ジャマール「忘れたことはないよ ほんの一瞬でも。必ず見つかると信じてた。僕たちの運命だ。」
ラティカ「運命…そうね」
というやり取りがあります。

するとそこにサリームが戻ってきて、ラティカを連れていきジャマールを部屋から追い出してしまいます。

「俺がボスだ。コルト45をぶっ放す!失せろ」と実の兄であるサリームから銃を向けられるジャマール。

結局兄サリームとラティカとは離れ、ジャマールはひとりで生活するようになります。

サリームはラティカをジャヴェドに受け渡し、ラティカは自分の意志に反してジャヴェドと一緒に暮らすことになります。

第七問「ケンブリッジサーカスはUKのどの街にある?」

A オックスフォード
B リーズ
C ケンブリッジ
D ロンドン

ひとりになったジャマールはコールセンターでアシスタント(お茶くみ)の仕事をはじめます 。

そのコールセンターで見てきたものや看板などがフラッシュバックして
「ロンドンにオックスフォード・サーカスが。オックスフォード対ケンブリッジのボートレースもロンドン。だからロンドンです。」とこの問題に解答します。

またコールセンターで働いている時にオペレーターに5分だけ交代しろと言われて、ジャマールは席につきます。

そこで名簿検索で「ラティカ」と入れると2万6283件ヒットします。

次に「サリーム・K・マリク」と兄のフルネームを入力すると15件ヒット。その15件に上から順に電話をかけ、兄であるサリームを見つけます。

サリームに会いに行くと、ムンバイはジャヴェドが牛耳っていて、そのジャヴェドの手下としてサリームは裏の世界でのし上がっていました。

久しぶりに再会した時に
「ジャマール?やっと会えたな、神のお導きだ」というサリームを殴り「一生ゆるさない」というジャマール。

そこで下を向き一人でぽつりと「分かってる」とつぶやくサリーム。これも最後のシーンに繋がっていく重要なシーンです。

一生許さないとはいうものの一応サリームとジャマールは和解します。

ジャマールはサリームから名刺を受け取りサリームの家に行くことになる。

サリームが仕事に行こうとするときに、ジャマールはこっそり拳銃で撃とうとします。
そこで神に懺悔をしているサリームを目撃し、撃つのをやめるジャマール。

仕事に行くサリームの後をつけると、サリームはジャヴェドの家に着きます。

その家でジャマールはラティカと再会し、そこでラティカが「クイズミリオネア」を熱心に見ていることを知ります。

ジャヴェドが帰宅し、ミリオネアからクリケットにチャンネルを変え、そのクリケットの放送中に「テンドゥルカール、記録は出ず。」と流れます。

ジャマールはジャヴェドから出ていくように言われラティカからも「行って、2人とも殺される」と言ってジャマールを逃がします。

そこでラティカがジャマールに「私のことは忘れて。」と言い、
それに対しジャマールは「そんなのムリだ。駅で待つ。君が来るまで毎日5時に。愛してる。」と言います。

ラティカは首を横にふり「だから?もう手遅れなのよ、行って」と言いジャマールを家から外に出します。

ラティカに断られたものの律儀に5時に駅で待つジャマール。

そこになんとラティカが現れますが、サリームとジャヴェドの一味がラティカを連れ去ってしまいます。

第八問「最多センチュリーを記録したクリケット選手は?」

A S・テンドゥルカール
B R・ボンティング
C M・スレイター
D J・ホッブス

ジャヴェド邸で見たクリケットの放送で「テンドゥルカール、記録は出ず。」と放送されたのを知っていたので、ジャマールはまず答えがAではないと分かります。

ただ残る3人の中で誰が正解かは分かりません。

そこで番組はCMに入り、トイレでミリオネアの司会者プレームと出くわします。

答えが分からないと言うジャマールに司会者プレームは「もうすぐ君は金持ちだ。掃き溜めから王宮へ。私を信じろ。」とそれっぽいことを言いながら、ウソの答えであるBを正解だと教えます。

CMが終わり、ジャマールはライフライン50/50を使い選択肢を2つに絞ります。

消えたのはAとCで、残ったのはBとD。

プレームがトイレで教えてくれた答えはBですが、プレームの表情やこれまでのやり取りからプレームはウソをついていると見抜いたジャマールはDを選び正解します。

ここで放送時間が終わり、最終問題は明日の放送へ持越しとなります。そこで司会者はジャマールを取り調べに連行します。

取り調べ室に場面が映り、
「奇妙な話だがもっともらしい。だが…」と警部が言うと
「どうせ僕はスラム出身だしお茶くみだから嘘つきと?」とジャマールが答えます。

すると警部が「そういうやつが多い。だが君は嘘つきではない。とても正直者だ。取り調べは終了。」と言い、ジャマールはインチキでクイズに回答した訳ではないと証明されます。

最終問題「アレクサンドル・ドュマの著書「三銃士」銃士2人の名はアトスとポルトス。3人目の銃士の名前は?」

A アラミス
B 枢機卿リシュリュー
C ダルタニャン
D ブランシェ

ジャヴェド・サリーム・ラティカは一緒に暮らしていて、そこでクイズミリオネアを見てジャマールが番組に出ていることを知ります。

ただミリオネアが好きでないジャヴェドが、テレビのチャンネルを歌番組に変えて皆で踊ります。

皆が踊っているなか、ラティカはひとり別の部屋でジャマールが出演するミリオネアを見ます。

そんな中ジャヴェドに電話が掛かってきて、その隙をみてサリームはラティカの元へいき、
「あいつは決して諦めない、絶対に。イカれた弟だよ。あいつのもとに行け。二度とチャンスはない。」と言って、車のカギをラティカに渡す。

ラティカが「あなた殺されるわ」とサリームの心配をするも
「俺に任せろ。」と言い、「行くんだ、これを持っていけ。」と自分の携帯をラティカに渡します。

最後にサリームは
「俺がしたことをどうか許してくれ。幸せになれ」と言いラティカを見送ります。

場面はクイズ番組に切り替わり、幼少期のことを思い出すジャマール。

幼少期の簡易的な学校のようなところで三銃士のことも出てきてアトスとポルトスの名前は分かりますが、三銃士の三番目の名前は知りません。

そこでジャマールは最後のライフラインであるテレフォンを使います。

番号を知っているのは名刺を貰ったサリームの番号のみで、サリームから電話を受け取っていたラティカが電話に出ます。

ただラティカも最終問題の答えは分からず、あてずっぽうでジャマール答えを選びます。

この電話のシーンが良かったです。クイズ問題のことはそっちのけでラティカの安否を確認している所はグッときました。

一方、ラティカを逃がしたことがバレたサリームはジャヴェド一味に追い詰められてしまいます。

そこで「神は偉大なり。」とつぶやくサリーム。

大感動のラストシーン

番組終了後にジャマールは昔した約束通り、駅でラティカを待ちます。

そこでラティカと再会したジャマールは
「君が見てると信じてた。僕たちの「運命」だ。」と言い、映画冒頭の問いの回答へと繋がります。

このラストシーンの感動は凄いです。

クイズ番組やその回答をなぜ知れたかの種明かしなど、今までのシーンをすべて上回るほどのジャマールとラティカの純愛が画面に映し出されます。

ここで大感動していると、さらにインド映画のオマージュでもある大ラスシーンへ移行します。

地上波放送ではカットされたダンスシーン

スラムドッグミリオネアは日本の地上波では、2013年2月20日のプレミアムシネマ(TBS)で初放送されました。

そこで衝撃だったのは、最後のダンスシーンが丸ごとカットされていたことです。

たしかに私もはじめてこの映画を観たときに、ジャマールとラティカの純愛のシーンからいきなりダンスシーンに移ったときには面食らいました。

でもあのシーンはインドを舞台にしたスラムドッグミリオネアにとって、インド映画へのオマージュでもある重要なシーンです。

しかも映画の途中で子ども時代のジャマールがラティカに「月の光の下で君と僕。踊ってくれるよね?」と言ってて、それが大ラスのダンスシーンに繋がっています。

そんな大ラスのダンスシーンがカットされたのは個人的には残念でした。

まぁこの大ラスシーンがない方がまとまりは良いんですが、それでもこのダンスシーンはダニー・ボイルという一筋縄ではいかない監督のこだわりだと思っています。

地上波だけでスラムドッグミリオネアを見た人は、ぜひもう一度DVDで観てほしいと個人的には思っています。

 - オススメ映画