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映画「ハルフウェイ」を観た感想:駄作と言われるけど意外と良かった

      2016/01/06

2009年公開の日本映画「ハルフウェイ」見ました。

監督は北川悦吏子。岩井俊二と小林武史がプロデュースしています。

主演は北乃きいと岡田将生。


ハルフウェイのあらすじ

舞台は北海道。大学受験を控えた高校3年生の恋愛模様を描いた作品。

紺野ヒロ(北乃きい)は、ずっと片思いをしていた篠崎シュウ(岡田将生)に告白され付き合うことになります。

ただ、ヒロは高校卒業後も北海道に残るけどシュウは早稲田に進学するつもりで、シュウはそれをヒロに言えずにいました。

結局シュウが早稲田に行くつもりだとヒロが知ってしまい、ヒロは激怒。
「なんで言わなかったの?」
「東京に行くのにあたしにコクってどういうつもり?」
「全然先のこと考えてないじゃん!」
「早稲田行くのやめて。」

と無茶苦茶な要求をします。

シュウはとても優しいので、ヒロのために早稲田行きを一度はあきらめます。

ただヒロは、シュウが早稲田行きを辞めたら辞めたで自分のせいなんじゃないかと悩みモヤモヤします。

そして書道の先生である平林(大沢たかお)に相談して諭され、やっぱりシュウの東京行きを応援するようになります。

最後は音楽室でヒロがドラムをどろろろろろーんと叩いて正直な気持ちをブツケます。

それに対してシュウもドラムをどろろろろーんと叩いて・・・・。

という感じです。

ハルフウェイは作りが雑すぎる

ハルフウェイは最近の映画の中では珍しくキスシーンのない甘酸っぱさは良かったです。和みます。

映像や音楽もキレイです。光の使い方や映像のぼかせ方は岩井俊二っぽいです。

ただ映画としての作りは雑です。

確かにキレイな映像のシーンは多いですが、綺麗なシーンが綺麗なだけのシーンとして物語から独立しています。

例えばそれがヒロやシュウの心像風景を表現していたり何かのメタファーになっていたり。そういう風には受け取れませんでした。

あれなんだったんでしょうか。ただ綺麗な映像を撮りたいだけみたいな雑な印象を受けました。

北乃きい演じる主人公の紺野ヒロがわがまま過ぎる

あと主人公のヒロが自分勝手すぎます。

彼氏であるシュウが東京の早稲田に行きたいなら応援してあげればいいのに「早稲田行くの辞めて」とか言ってシュウの人生に口出ししています。

しかも「なんで早稲田行くこと決めてて私に告白したの?」とか激ヤバです。

そもそもヒロもシュウに告白しようとしてた訳ですが、じゃあヒロはシュウが早稲田に行くってリサーチした上で告白しようと思ったのでしょうか。

そうじゃないんならシュウに対して「早稲田に行くって決めてたのになんで私に告白したの?」はさすがに無理があります。

そもそも彼氏が卒業後の進路を言えずにいただけのことでなぜそこまで怒るのか意味が分からないです。

別に遠距離恋愛で良いじゃんとしか思えませんでした。

ハルフウェイを物語として成立させる為には、物語を進める上で「遠距離恋愛が不可能である真っ当な理由」をまず持ってこないといけないです。

遠距離恋愛という選択肢を潰さないままヒロがあれだけ「早稲田行き辞めろ」とか言ってると、見る側は「なんで遠距離っていう選択肢が出てこないんだろう?」と思い物語に入れません。少なくとも自分はそうでした。

北乃きいと岡田将生のアドリブ主体の台詞は良かった

全体的に雑な映画でしたがヒロとシュウのアドリブ主体の台詞は良かったです。ドキュメンタリー的な感じもあって10代の恋愛がリアルに表現されていました。

とくにハルフウェイという題名がつけられるきっかけになったシーン。

ヒロがシュウに英単語の問題を出す場面で、「途中」を英訳すると何でしょう?という問題を出します。

正解はhalfway(ハーフウェイ)ですが、北乃きいが天然でハルフウェイって言っちゃうところ。あれは良かったです。

ヒロ「ハルフウェイ!」
シュウ「え、ハーフウェイじゃないのコレ?」
ヒロ「いやハルフウェイだよ。」
シュウ「ハルフ、ははは!ハルフウェイってさ、ハーフウェイでしょ!」
ヒロ「ハルフウェイです!(笑)」

あのシーンではシュウも思わず大笑いしていて、その笑い方がホントに素直でナチュラルであそこは脚本がないドキュメンタリー調の撮り方だからこそ起きたミラクルシーンだと思いました。

あそこは画面に魔法がかかっていました。

書道の先生・平林(大沢たかお)がナイスキャラ

あとヒロを諭してあげた書道の先生・平林のキャラが素晴らしく良かったです。

書道で使う紙を書道室にヒロが持って来て、帰ろうとするヒロを呼び止めてヒロを諭すシーンがありましたが、あそこは良かったです。わがままなヒロを上手く手懐けていました。

帰ろうとするヒロを足止めさせる平林

平林「お茶飲んでく?」
ヒロ「お茶?いいです。」
平林「飲んでけ飲んでけ。入れてやるから。」「これ墨。墨だから」(聞き取れなかった。)

ヒロにとりあえず何か作業をさせて足止めして帰らせないようにする作戦です。

ナチュラルにヒロから悩みを聞き出す平林

平林の作戦通り墨をするヒロに対し、

平林「どう受験勉強?」
ヒロ「まぁまぁです。」
平林「まぁまぁってどういうことだよ(笑)大丈夫か?大変だろ色々?お前なんかちょっと悩んでない?」
ヒロ「いや、悩んでないですけど・・。」
平林「うそつけ。先生分かるんだよ、顔見てたら。」
ヒロ「何もないですよ。友達が悩んでます。」
平林「友達?どしたの?」
ヒロ「彼氏がいるんですけど友達に。で友達の彼が東京の大学に行くんですけど」

といった感じで、友達の話という体で悩みを告白します。

超ナチュラルにヒロから悩みを引き出す平林のナイスキャラが絶妙に良いです。

友達の話という体をスルッとヒロ自身の話にすり替える平林

友達の話という体でヒロは平林に悩みを打ち明けます。

ヒロ「東京行くの辞めてくれたんですけど、そしたらなんか行って欲しくなるって言うか。でも行ってほしくないって言うか。」
平林「その友達ってその・・・、紺野のことにしよう。話こんがらがっちゃうから。」
ヒロ「いや私じゃないって。」
平林「まお前だとして。」

はじめは友達の話という体で悩みを話し出したヒロの話を超ナチュラルにヒロ自身の話にしています。ここは凄かったです。

二者択一を用いてワガママで子どもなヒロを諭す平林

平林「男はみんな先のことは考えない。好きだって思ったら行くんだよ。その男は良い男だね。」
平林「で、その男振り向いてくれたんでしょ(東京行き辞めてくれたんでしょ)。すごいよね。その男の子は女の子のこと本気で考えたんだよ。本気で考えたから傍にいようって決めたんだよな。いいね。」
平林「例えば一生連れ添ってるとしてよ二人がね。長―い人生の中でこの今数年、東京に行く行かないってどっちが二人にとって幸せだろう?」
平林「ずっと一緒にいるとしたらこのわずか一瞬の時間東京に行くことと、東京に行くことを辞めさせて今からずっとふたりで一緒にいるのと。」
平林「どっち?どっちがふたりにとって良いのかな?」

と超ナチュラルにわがままヒロを諭します。

おちゃらけつつも正論をぶちかます平林

「でもこれからずっと一緒にいられるかどうか分からない。もし東京に行ったら好きな人ができちゃうかもしれない。」と言うと

平林「できちゃうかもね!できちゃうかも。東京凄いし。渋谷とかもうね、怖い。行けない先生もう。魔物が住んでる、あそこは。」とおちゃらけて

ヒロが「そういうところに行かせられないですよ。」と言います。

すると
平林「でもそこで!その彼がね、頑張って大学行って乗り越えてきたらそりゃいい男になるよね。」
平林「だって一緒に添い遂げる男の人がさ、『いや東京いったことありまへん何もしりまへん』というのと、『色んなこと経験してきてその上で君を守りたい』なんて言われたら。」
ヒロ「嬉しい(笑)」
平林「嬉しいでしょ。そういう風に考えたら。時間あるんだから。」

そこからヒロに今の気持ちを書に表せとか言って書道させてヒロの気持ちを整理させます。

このヒロと平林のやり取りは本当に素晴らしかったです。このシーンだけでハルフウェイを観たかいがありました。

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